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配管トラブルが引き起こす室内漏水の実態と、早めの修繕リフォームが必要な理由

「床が一部だけ湿っている」「壁紙の継ぎ目が浮く」「夜中にどこかで水音がする」。こうした小さなサインの裏に、給水・給湯・排水などの配管トラブルが潜んでいることは少なくありません。室内漏水は放置すると内装の張り替えだけでは済まず、下地・断熱材の交換や電気設備の点検まで広がることがあります。

本記事では、室内漏水の起きる仕組み、初動対応、調査と修繕の流れ、費用の目安、そして「早めに直すべき理由」をわかりやすく解説します。

室内漏水の正体――「配管×内装×生活動線」の掛け算で起きる

室内漏水の多くは、次のいずれか(または複数の重なり)で発生します。

  • 給水・給湯系:継手の緩み、パイプのピンホール、経年劣化。少量でも24時間漏れ続けやすい。
  • 排水系:トラップやジャバラホースの割れ、勾配不良、詰まりによる逆流。
  • 機器付属:洗濯機や食洗機の給水・排水ホース外れ、エアコンのドレン詰まり。
  • 二次被害:床材や石膏ボードが水を吸って変形・カビ化し、被害範囲が拡大。

ポイントは「一見乾いて見えても、下地の内部が濡れ続けている」ことがある点です。乾いたと思ってもにおいが消えない、同じ場所に再発する――これは内部に“水みち”が残っている典型例です。

症状から逆引き:よくあるサインと想定原因

症状想定原因(例)自分でできる初動
夜間でも水の流れる音がする給水・給湯管のにじみ、ピンホール家中の蛇口を閉め、水道メーターのパイロットが回っていないか確認
キッチン床が局所的に柔らかいシンク下の排水・給水接続の緩み止水栓を閉めて様子を見る。タオルで水分を吸い、写真記録
雨に関係なく天井にシミ上階の給湯・排水、エアコンドレンの逆流上階の水使用を止めてもらい、変化を確認
カビ臭・巾木の変色長期的な微小漏水で下地が含水換気・除湿。原因特定までは濡れた面を塞がない

自分でできる一次切り分け(5ステップ)

  1. 家中の蛇口・家電の給水をすべて止める(洗濯機・食洗機・温水洗浄便座も含む)。
  2. 屋外のメーターボックスを開け、パイロット(小さなコマ)が回転していないか見る。動く場合は見えない場所で給水系の漏れが続いている可能性が高い。
  3. 給湯器の元栓を一時的に閉めて再度パイロットを確認。止まるなら給湯側のトラブルの疑い。
  4. トイレ・洗面・キッチンなど各止水栓を1つずつ閉め、動きが止まる箇所を探る。
  5. エアコン停止中でも天井から滴る場合は、ドレン詰まりや上階の排水の影響を疑う。無理に天井を塞がず記録を残し、専門業者へ。

※感電や機器故障を避けるため、濡れたコンセント・照明器具には触れないこと。漏水箇所の真下に家電・書類・布団がある場合は安全を確保してから移動を。

プロが行う原因特定:非破壊調査から最小開口へ

  • 目視・聴診:配管・継手・バルブ周り、家具背面、床下点検口からの確認。
  • 水圧試験:給水・給湯をラインごとに加圧し、圧力低下の有無を測る。
  • 温度・赤外線カメラ:表面温度差から濡れ領域を抽出。散水や通水と組み合わせ精度を上げる。
  • 色水・発光トレーサー:排水系やドレンの流路確認に有効。
  • 最小開口調査:位置を絞って壁・天井を小さく開け、ピンポイントで補修・交換。

修繕とリフォームの選択肢

工法・内容概要工期の目安向いているケース
継手増し締め・パッキン交換接続部の緩み・劣化を是正数十分~半日露出部や点検口から作業可能な軽微漏れ
部分配管交換ピンホール・腐食部を切除し新管へ半日~2日漏れ位置が特定でき、周辺の健全度が高い
系統ごとの更新(給湯・給水)同一ルートを新材に切替、将来リスクを低減1~3日複数箇所で劣化が見られる/築年数が進んでいる
内装復旧(下地乾燥・張替)含水を乾燥→防カビ→石膏ボード・仕上げ復旧2~7日被害範囲に応じて工程を調整

費用感は状況により数万円~数十万円、階下や広範囲に及ぶと100万円超に達することもあります。早期発見・最小開口で抑えるのが鉄則です。

早めの修繕リフォームが必要な5つの理由

  1. 二次被害の広がりが早い:石膏ボードや合板は水を吸うと変形・崩壊。表層だけ乾かしても内部が湿れば再発します。
  2. カビと健康への影響:湿った壁内・床下はカビの温床。臭い・アレルギー・ダニ増殖の原因にも。
  3. 電気設備のリスク:天井裏や壁内の配線に水が触れるとショートや漏電の可能性。
  4. 費用の“指数関数的”増加:内装復旧・下地交換・家具家電の被害が重なると一気に高額化。
  5. 集合住宅では賠償が発生することも:階下に被害が及ぶと原状回復や清掃費の負担が発生しやすい。

ケーススタディ(3例)

(1)給湯管のピンホールでキッチン足元がじわ濡れ

夜間もパイロットが回り続けていたため給湯側を疑い、系統止水→圧力試験→最小開口でピンホールを特定。部分配管交換+断熱補修+床下乾燥で復旧。工期は1~2日が目安。

(2)洗面台の排水ジャバラの割れで巾木が変色

通水中のみ水滴。排水系の局所トラブルのため、トラップ部材交換と巾木・石膏ボードの張り替え。仕上げ復旧まで1~3日。

(3)エアコンからの天井シミ

冷房時のみ症状。ドレンホースの詰まりが原因で逆流。清掃・勾配是正で改善し、天井は乾燥後パテ補修・クロス張り替え。

費用とスケジュールの考え方(失敗しない見積もりの見方)

  • 調査費:訪問・非破壊調査・報告書の有無を確認。
  • 工事費:配管材料(例:架橋ポリエチレン、銅管など)と施工範囲、復旧範囲を明記。
  • 乾燥・防カビ:含水状況に応じて送風・除湿・防カビ処理の行数を確認。
  • 復旧費:石膏ボード・クロス・巾木・床材の数量根拠(㎡やm)を記載してもらう。
  • 追加の想定:開口後に判明する追加工事の取り扱い(見積条件)を事前に取り決める。

業者選びのポイント

  • 原因・対策を写真や動画で可視化して示してくれる。
  • 非破壊調査(聴診・赤外線・水圧)から最小開口で進める方針がある。
  • 工事中の養生と近隣配慮、集合住宅では管理会社との連携体制が明確。
  • 保証・アフター点検の範囲と期間が書面で提示される。

まとめ――「早め+最小」で、費用も時間も抑えられる

室内漏水は、気づいたときが最小コストのタイミングです。メーター確認→止水→系統切り分けで初動を素早く取り、専門調査で原因を絞り込んで最小開口・的確補修へ。早めの修繕は、内装の再発防止、健康・安全の確保、そして余計な費用の膨張抑制に直結します。迷ったら、記録(写真・匂い・音の状況)を残し、プロへ相談しましょう。

FAQ

Q1. どのくらいの費用がかかりますか?

A. 軽微な接続部の補修なら数万円、配管の部分交換や内装復旧を伴うと数十万円、階下まで被害が及ぶと100万円超に及ぶことがあります。調査段階で範囲と復旧方法を明確にすると、見積の精度が上がります。

Q2. 火災保険は使えますか?

A. 契約内容によります。室内の水濡れや階下への賠償をカバーする特約が付いている場合があります。写真・原因調査の資料・修繕見積を揃えると請求がスムーズです。

Q3. 天井や壁は必ず開けますか?

A. 非破壊調査で位置を絞ったうえで、必要最小限の開口に留めるのが基本です。復旧時は下地の乾燥・防カビを先に行い、仕上げ材は最後に張り替えます。

Q4. エアコン停止中でも水が落ちます

A. 冷房時に出るドレン水の詰まり・逆流が主因のことが多く、ホースの清掃・勾配是正で改善する場合があります。天井裏に回った水は別ルートに溜まっている可能性があるため、乾燥と点検を併行してください。

Q5. すぐにできる再発防止は?

A. メーターのパイロット確認を習慣化、家電ホースの定期点検、エアコンドレンの清掃、止水栓の位置を家族で共有。水回りのリフォーム時は点検口の新設も有効です。

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