見落としがちな室内の水トラブル|漏水調査でわかる“隠れた被害”と対応方法
室内で起こる水トラブルは、必ずしも目に見える場所だけに限りません。実は、壁の中や床下で静かに進行する“隠れた漏水”が、大きな損害につながることもあるのです。今回は、漏水調査によって発見される隠れた被害や、早期発見の重要性、具体的な対応方法について詳しく解説します。
目次
1. 漏水はなぜ「隠れる」のか?

漏水と聞いてすぐに「天井から水が落ちてくる」といった目に見える被害を想像する方も多いかもしれません。しかし、実際の漏水は、壁の中や床下、天井裏など、普段目にしない場所で静かに進行しているケースが非常に多くあります。
■ 漏水が表に出ない理由とは?
- 配管が壁や床の内部に隠れているため:現代の住宅では、見た目や安全性の観点から配管を隠す構造が一般的です。
- 水の漏れ方が微量であるため:ほんの少しの水がじわじわと漏れる程度では、すぐに気づきにくく、長期間にわたって進行します。
- 湿気やにおいだけが先に現れることも:カビ臭さや空気の重さから異変に気づくこともありますが、原因が水だとはすぐに断定できません。
■ よくある「隠れた漏水」の発生箇所
箇所 | 主な原因 | 気づきにくい理由 |
---|---|---|
壁の内部 | 給水・排水管の劣化、結露 | 目視ができず、変色やクロスの浮きでようやく気づく |
床下 | 排水管のズレや地盤沈下による破損 | 点検口を開けない限り確認ができない |
天井裏 | 上階の水回りのトラブル、屋根からの雨漏り | 変色やシミにならない限り見つけにくい |
■ 早期発見が難しい=被害が大きくなりやすい
こうした隠れた漏水は、気づかずに放置されやすいため、構造体へのダメージやカビの発生など、二次被害につながるリスクが非常に高くなります。特に木造住宅では、木材が水分を含んだまま放置されると、腐食やシロアリの被害につながることも。
■ こんなサインに注意!
- 壁紙の一部が波打っている、または剥がれている
- 部屋の一部だけ床が軋む、沈む感じがある
- 空気がこもったような異臭がする
- 押し入れの布製品や畳が湿っている
このような小さな異変を「なんとなく」で終わらせず、早めに専門業者に相談することが重要です。
漏水調査が必要となる兆候

次のようなサインがある場合、漏水の可能性を疑うべきです。
- 壁紙の一部が浮いてきている・剥がれてきている
- 床や壁が部分的に湿っているように感じる
- カビ臭や異臭がする
- 水道代が突然上がった
- 押入れや収納の中の布製品にカビが出ている
これらのサインは、すべて「目に見えない場所での水の侵入」が疑われるもの。特に木造住宅の場合、湿気は構造材の腐食にも直結します。
漏水調査の流れと調査方法
漏水調査には、専門の機材や技術が必要です。以下は一般的な流れです。
- 聞き取り調査:どのような症状があるかを住人からヒアリング
- 目視点検:外壁・内装・水回りの確認
- 機器調査:以下のような機材を使用して水の経路や湿度を確認
調査機器 | 用途 |
---|---|
赤外線カメラ | 温度差を利用して壁内の湿気を可視化 |
水分計 | 建材の水分含有量を数値化して確認 |
気圧測定器 | 水漏れ箇所の圧力変化を検知 |
調査結果によって、必要な工事の範囲が決まり、見積もりと施工計画が提示されます。
見つかった漏水への対応方法
漏水の原因が特定できたら、以下のような対応を検討します。
- 配管修理:給水・排水管の交換、継手の締め直しなど
- 断熱材・内装材の交換:カビや腐食が進んでいれば素材を交換
- 防水処理の再施工:ベランダや屋根からの浸水対策
特に注意したいのは、被害のあった部分だけを直す「対症療法」ではなく、再発防止を前提とした根本的な対策を取ることです。
費用の目安と火災保険の活用
漏水修理の費用は、調査から修繕まで含めると数万円〜数十万円になることがあります。
ただし、多くのケースでは火災保険が適用可能です。
- 配管からの漏水で建物に損害があった場合
- 天井・壁・床などが被害を受けた場合
- 被害拡大を防ぐための応急処置費用
保険申請時には、調査会社や工事業者が作成する「被害報告書」と「写真」が必要になります。
どんな業者に依頼すべきか?選び方のポイント
信頼できる業者選びは非常に重要です。以下のポイントを確認しましょう。
- 現地調査や見積もりが無料である
- 調査報告が写真付きでわかりやすい
- 火災保険の申請サポートに対応している
- 口コミや施工事例が公開されている
- アフターサポート体制が明確である
焦って契約してしまうと、後でトラブルになることもあるため、複数社の見積もりを比較するのがベストです。
まとめ

室内の水トラブルは、見た目にわかりにくいため放置されやすく、気づいた時には大きな被害になっていることも少なくありません。漏水調査によって、早期に原因を突き止め、正しく対処することが大切です。
「ちょっと変だな?」と感じたときが、まさに調査のタイミングです。安心して暮らせる住まいのためにも、定期的な点検や調査を取り入れてみてはいかがでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Q. 漏水調査の費用はどれくらいかかりますか?
A. 一般的には3万〜5万円程度が目安ですが、現場の状況によって異なります。
Q. 火災保険が使えるのはどんなケース?
A. 配管の劣化による漏水や建物への被害がある場合、適用されることがあります。
Q. 調査を頼んでもすぐ工事されるのですか?
A. 基本的に調査と見積もり後に、別日での工事が組まれます。急ぎの場合は応急処置も可能です。