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梅雨や台風シーズンに要警戒!プロが教える雨漏り・漏水の兆候と家庭でできる応急処置

「天井に覚えのないシミがある気がする」「雨の音がいつもより大きく聞こえる」

梅雨の長雨や台風シーズンの激しい暴風雨の際、ふとした瞬間に家の異変を感じて不安になったことはないでしょうか。雨漏りや漏水は、気づいたときには建物内部で進行していることが多く、放置すると柱の腐食やカビの発生、シロアリ被害など、住まいの寿命を縮める重大なトラブルにつながりかねません。

しかし、いざ雨漏りを発見しても、業者がすぐに来てくれるとは限りません。特に災害級の台風直後は依頼が殺到し、数週間待ちになることもあります。そんな時、正しい知識と応急処置の方法を知っているかどうかが、被害を最小限に食い止めるカギとなります。

この記事では、プロの視点から「雨漏りの初期兆候」の見極め方と、誰でも家庭にあるものでできる「安全な応急処置」、そして業者に依頼する際のポイントまでを徹底解説します。大切なマイホームを守るために、ぜひ参考にしてください。

目次

雨漏りは天井からとは限らない!見逃してはいけない初期兆候

雨漏りと聞くと、多くの人が「天井からポタポタと水が垂れてくる状態」を想像します。しかし、水が滴り落ちてくる段階は、すでに症状としてはかなり進行している状態です。家は悲鳴を上げているサインを早い段階で出しています。ここでは、五感を使ってチェックできる雨漏りの初期兆候を紹介します。

視覚で確認するサイン:クロス(壁紙)の異変

最も発見しやすいのが、室内のクロス(壁紙)の変化です。普段の生活の中で、以下のような変化がないか注意深く見てみましょう。

  • 天井や壁のシミ: 水が染み出した跡が、輪っか状のシミになっていないか確認します。特に窓枠の角や、天井のコーナー部分は要注意です。
  • クロスの剥がれ・浮き: 湿気を含むことで接着剤が弱まり、クロスが波打ったり、継ぎ目が剥がれてきたりします。
  • カビの発生: 換気をしているのに特定の場所だけ黒ずんだりカビが生えたりする場合、壁の内部で漏水している可能性があります。

嗅覚で確認するサイン:独特のカビ臭さ

「部屋に入った瞬間、なんとなくカビ臭い」「雨の日だけ独特の嫌なニオイがする」と感じる場合、目に見えない壁の裏や天井裏で、雨水による腐食やカビの繁殖が進んでいる可能性があります。特に、普段あまり使わない客間や納戸などはニオイがこもりやすいため、定期的に換気をしながらニオイチェックをすることが重要です。

聴覚で確認するサイン:雨音の変化

雨漏りの初期段階では、水滴がポタポタ落ちる音が天井裏や壁の中で響くことがあります。「外の雨音とは違う、ピチャン、ピチャンという音が壁の中から聞こえる」といった場合は、すでに内部への浸水が始まっています。テレビを消して、静かな状態で耳を澄ませてみましょう。

どこから水が入る?雨漏りの主な発生場所と原因

雨漏りの原因特定はプロでも難しいと言われていますが、発生しやすい場所はある程度決まっています。自宅のどの部分がリスクが高いかを知っておくことで、点検の精度が上がります。

場所主な原因チェックポイント
屋根瓦のズレ・割れ、板金の浮き台風後に庭に屋根材の破片が落ちていないか
外壁ひび割れ(クラック)、シーリング劣化幅1mm以上のひび割れがないか、目地が切れていないか
窓・サッシコーキングの劣化、引き込み口の不備サッシ枠と外壁の隙間に亀裂がないか
ベランダ排水口の詰まり、防水層のひび割れ水たまりができていないか、排水口にゴミがないか

屋根・屋上の劣化

最も雨風の影響を受ける屋根は、経年劣化が進みやすい箇所です。スレート屋根のひび割れ、瓦のズレ、漆喰の崩れなどが直接的な原因となります。また、谷樋(たにどい)と呼ばれる屋根の谷間部分の板金が錆びて穴が開くケースも非常に多いです。

ベランダ・バルコニーの防水切れ

意外と多いのがベランダからの雨漏りです。ベランダの床には防水塗装が施されていますが、約10年〜15年で効果が薄れてきます。ひび割れや膨れがある場合、そこから水が浸入し、下の階の天井に雨漏りを引き起こします。また、排水口(ドレン)が枯れ葉や土で詰まり、プールのように水が溜まってしまうと、想定以上の水位になりサッシ下などから浸水します。

外壁のひび割れとシーリング劣化

モルタル外壁のひび割れ(クラック)や、サイディング外壁の継ぎ目を埋めるシーリング(コーキング)材の劣化も大きな原因です。特にシーリングは紫外線で硬化し、5年〜10年でひび割れや剥離を起こします。そこから雨水が侵入し、壁体内を伝って室内に漏れ出します。

【室内編】今すぐできる!雨漏りの応急処置グッズと方法

実際に雨漏りが起きてしまった場合、業者が来るまでの間に被害を拡大させないための応急処置が必要です。ここでは、ホームセンターに行かなくても家庭にあるものや、コンビニで手に入るもので対応できる方法を紹介します。

バケツと雑巾で「水ハネ」を防ぐ

天井から水が滴っている場合、床にバケツを置くのが基本ですが、そのままでは水滴が落ちるたびに「ピチャッ」と水がハネて周囲の床や壁を汚してしまいます。

プロのテクニック:
バケツの中に雑巾やタオルをふんわりと入れておくか、溜まった水の中にいれておきましょう。これだけで水ハネを劇的に防ぐことができます。また、バケツの下にはレジャーシートや新聞紙を広く敷き、床材を保護することを忘れないでください。

吸水シート(紙おむつ・ペットシーツ)の活用

窓サッシからの浸水や、広範囲にじわじわと広がる漏水には、吸水性の高いアイテムが役立ちます。もし家庭に赤ちゃん用の紙おむつや、ペット用のトイレシーツがある場合は、最強の雨漏り対策グッズになります。

これらは大量の水分を吸着してゲル状に固めるため、雑巾のように何度も絞る手間が省けます。サッシのレール部分に詰めたり、濡れている床に敷き詰めたりすることで、被害の拡大を効率よく食い止められます。

カーテンや家財道具の移動・保護

雨漏り箇所に近いカーテンは、湿気を含むとすぐにカビてしまいます。早めに取り外すか、裾を結んで濡れないようにしましょう。また、電化製品や家具が濡れると故障や変色の原因になるため、ビニール袋(ゴミ袋でOK)を被せて養生してください。PCなどの精密機器は、万が一に備えて別の部屋へ移動させるのが賢明です。

【屋外編】DIYでの応急処置と絶対やってはいけないNG行動

雨が小康状態になったら、屋外からの応急処置も検討できます。しかし、ここには大きな危険と「やってはいけないこと」が存在します。

防水テープでの補修

原因箇所が特定できており、かつ脚立などを使わずに手が届く場所(1階の窓枠や外壁など)であれば、防水テープが有効です。ホームセンターには「雨漏り補修用テープ」が販売されています。

貼り方のコツ:
貼る場所の汚れや水分、コケなどをしっかりと拭き取ってから貼ってください。濡れている状態や砂埃がついた状態では粘着力が発揮されず、すぐに剥がれてしまいます。下から上に向かって貼る(水がテープの継ぎ目に入らないようにする)のが基本です。

ブルーシートの使用は慎重に

屋根の広範囲を覆うブルーシートは有効な手段ですが、固定が非常に難しく、風で飛ばされると近隣への被害につながります。土嚢(どのう)袋などで重しをする必要がありますが、高所での作業となるため、基本的にはプロに任せるべき作業です。

【重要】絶対にやってはいけないNG行動

良かれと思ってやったことが、かえって状況を悪化させたり、命に関わる事故につながったりすることがあります。以下の2点は絶対に避けてください。

1. 雨の中、屋根に登ること

最も危険な行為です。雨に濡れた屋根や梯子は非常に滑りやすく、プロの職人でも雨天時の屋根作業は原則行いません。「ちょっと様子を見るだけ」という軽い気持ちが、転落事故につながります。どんなに心配でも、雨が止んで屋根が乾くまでは決して登らないでください。

2. 水の出口を完全に塞いでしまうこと

室内に水が出てきている穴を、ガムテープなどで完全に塞ぎたくなる気持ちはわかります。しかし、出口を塞ぐと、壁の中に入った水の逃げ場がなくなり、壁体内に水が溜まり続けます。結果として、構造材の腐食を早めたり、別の場所から大量に水が吹き出したりする原因になります。室内側は「水を受ける」対処に留め、止水は必ず「外部(浸入箇所)」から行うのが鉄則です。

火災保険が使えるかも?修理費用の負担を減らす知識

雨漏りの修理費用は、足場代や屋根の葺き替えなどを含めると高額になるケースがあります。しかし、原因によっては「火災保険」が適用され、自己負担を大幅に減らせる可能性があります。

「風災」認定されるかがポイント

一般的な火災保険には、「風災・雪災・雹(ひょう)災」の補償が含まれていることが多いです。
単なる経年劣化(老朽化)による雨漏りは補償対象外ですが、「台風で屋根瓦が飛んだ」「強風で飛来物が当たり外壁に穴が開いた」といった、自然災害が原因で雨漏りが発生した場合は、保険金が支払われる可能性があります。

「今回の雨漏りは台風がきっかけかもしれない」と感じたら、保険代理店や保険会社に連絡し、申請方法を確認してみましょう。また、修理業者に見積もりを依頼する際も、「火災保険を使いたい」と伝えることで、保険申請に必要な写真や書類作成をサポートしてくれる場合があります。

信頼できる業者の選び方と依頼のタイミング

雨漏りは再発率が高いトラブルであり、業者選びが非常に重要です。焦って契約せず、以下のポイントを押さえて業者を選びましょう。

「雨漏り診断士」などの資格保有者がいるか

雨漏り修理には、建築全般の知識だけでなく、水の流れに関する専門的な知識が必要です。「雨漏り診断士」などの民間資格を持つスタッフが在籍しているか、あるいは建築士や屋根工事技士などの国家資格を持っているかを確認しましょう。

散水調査や赤外線調査を提案してくれるか

「パッと見て、ここを塞げば直ります」と安易に判断する業者は要注意です。確実な修理のためには、実際に水をかけて浸入経路を特定する「散水調査」や、温度変化で水分滞留を見る「赤外線サーモグラフィ調査」など、科学的な調査が必要です。原因特定に時間をかけてくれる業者は信頼できます。

施工後の保証があるか

どんなに優秀な業者でも、雨漏りは一発で止まらないことがあります。そのため、「施工後に再発した場合の保証(アフターフォロー)」が明確に契約書に記載されているかを確認してください。

まとめ:早期発見と安全な応急処置で家を守ろう

雨漏りは、家が発するSOSサインです。天井のシミやカビ臭さ、雨音の変化といった初期兆候を見逃さないことが、被害を最小限に抑える第一歩です。

万が一、台風や大雨で雨漏りが発生しても、慌てずにまずは安全確保を最優先してください。室内ではバケツやペットシーツを活用して家財を守り、屋外の作業は危険がない範囲(1階部分など)に留めましょう。屋根に登るなどの危険な行為は厳禁です。

そして、雨が上がったら早めに専門業者へ調査を依頼しましょう。経年劣化だと思っていても、実は台風被害によるもので火災保険が適用できるケースもあります。自己判断せず、プロの力を借りて、根本的な解決を目指してください。

大切な住まいを長く快適に保つために、次の雨が降る前に、一度家の周りをセルフチェックしてみてはいかがでしょうか。

FAQ:雨漏り・漏水に関するよくある質問

Q. 雨漏りの修理費用の相場はどれくらいですか?

A. 原因や被害範囲によって大きく異なりますが、部分的なコーキング補修であれば数万円〜、屋根の一部の修理なら10万円〜30万円程度が目安です。しかし、屋根全体の葺き替えや下地の腐食修理が必要な場合は、100万円を超えることもあります。必ず複数の業者から見積もり(相見積もり)を取ることをおすすめします。

Q. 賃貸物件で雨漏りした場合、修理費用は誰が負担しますか?

A. 建物の老朽化や構造上の問題による雨漏りの場合、修理義務は大家さん(貸主)にあります。借主が費用を負担する必要はありません。ただし、雨漏りに気づいていたのに報告を怠り、被害が拡大した場合は、家財の被害に対する賠償が受けられなかったり、善管注意義務違反を問われたりする可能性があります。発見次第、すぐに管理会社か大家さんに連絡しましょう。

Q. 自分で修理(DIY)して完全に直すことは可能ですか?

A. 結論から言うと、完全な修理をDIYで行うのは非常に困難です。雨水の浸入経路は複雑で、一箇所を塞ぐと水が別の場所に回り、見えない壁の中で柱を腐らせるリスクがあるからです。DIYはあくまで「業者が来るまでの応急処置」と割り切り、最終的な止水と修繕はプロに任せることを強くおすすめします。

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